どんなに暖かい日が続いてようと、3月は絶対冬に逆戻りする日がある。
まさにそんな日に、京都に行ってしまった。
風が冷たくて耳ちぎれるかと思ったわ。
目的地は、「京都国際マンガミュージアム」。
江戸時代から伝わる、アニメーションの元祖と言われてる錦影絵。
この伝統の技を米朝一門が受け継ぎ、復活上演している。
技師と語りを行うのは、吉坊&まん我コンビ。
まずは落語からスタート。
桂 吉坊「粗忽の使者?」
「粗忽の使者」ってのは、粗忽者の侍が主人の使者として使いに出るが、
口上を忘れ、尻をひねってもらって口上を思い出すって噺だけど、
今回聴いたのは、商家のぼんくらな丁稚、定吉が主人の使いに出されるが
口上を忘れるというもの。
サゲもCDで聴いた志ん朝とは違った。
吉坊さんの場合、侍よりも丁稚の方が自然だからとてもおもろかったけど。
桂 まん我「時うどん」
子ども連れの客がいて、「子どもが途中で騒いだらいややなぁ」と思ってたけど
身を乗り出して聴き、笑い転げていた。
おもろいもんに対しては、子どもの方が素直に反応するわ。
まん我さん、滑らかで心地よいリズム。
うどんを喰う二人のやりとりもおもしろく、
兄貴の真似して食べる2日目のうどんのまずそうな感じとか
笑いどころ満載。
単純な噺なんやけど、演じ方でこんなにも笑えるんかってちょっと感動した。
桂 米左「七段目」
鳴り物が入り、若旦那と定吉が芝居するシーンでは
演じてる米左さんも気持ちよさそうで
芝居好きの若旦那が浮かんだ。
3人ともすっごく気持ちのいい落語。
落語ってホンマ、おもろいなぁ。
さてさて、お待ちかねの錦影絵。
会場が真っ暗になり、和紙を張ったスクリーンが登場。
そこにぼんやりと絵が浮かびあがる。
映写機のような簡単な装置を動かしながら、吉坊&まん我が語る。
アニメーションの元祖といっても、手の部分だけがパタパタ絵本のように動くくらいのもので
なんともゆる〜く、地味〜なショーだ。
けど、暗闇に映し出される絵を観ていると
その世界にひゅ〜んと引き込まれていくようで
観ているみんなにも不思議な一体感が生まれて
とても幸せな空間であった。